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【特集】試作ができる熱処理炉メーカーに実際の事例を聞いた

熱処理炉を導入もしくはリプレースする前にあらかじめ熱処理の試作ができることをご存じでしょうか?

熱処理は、処理の条件と製品の品質特性との因果関係を左右する要素が多く複雑。設備としても特殊で、導入までのリードタイムも長いのが特徴です。実際に製品を提供できるまでの負担も多くあります。だからこそ、製品の品質や使い勝手を確かめたうえで熱処理炉を導入することが重要です。

そこで、当サイトではZenkenの編集チームが、熱処理専門メーカーであるパーカー熱処理工業株式会社(以下、パーカー熱処理工業)の担当者に、試作の内容や実際に試作したメーカーの方の声などを詳しくお伺いしました。試作を依頼したい方や炉の購入や乗り換えをご検討されている方はぜひ参考にしてください。

目次

熱処理の試作をするメリット

品質の改善をした上で炉を導入できる

パーカー熱処理工業_炉のイメージ写真
引用元:パーカー熱処理工業公式HP
https://pnk.co.jp/plant/plant2/

現在利用中の熱処理炉から乗り換える場合も、新たに導入する場合も、実際に熱処理をおこなった後の製品の品質をチェックする必要があります。

熱処理の方法や金属にどういった性質を与えたいかによって、焼き入れや焼き戻しの時間などさまざまな条件を変えて熱処理をおこなわなければなりません。

炉を導入する前に試作をすることで思い通りの熱処理ができるかどうかがわかるのが大きなメリットです。

複雑な熱処理条件や硬化層の微調整も
依頼できる

熱処理に対する深い知識がなくても、熱処理に詳しい炉のメーカーに試作を任せられるのもメリットの1つ。自分自身で難しい調整を繰り返さなくても、製品の仕上がりをチェックできます。

特に、炉のメーカーであれば、異なる熱処理炉を使ってさまざまな処理方法を試せるのが魅力です。熱源をガスから電気に変えるなどの場合にも、どの程度品質に影響が出るかを相談してみると良いでしょう。

また、調整された炉をそのまま導入が可能。試運転調整の後は、短いリードタイムで稼働させられます。

熱処理炉の試作を任せられる
パーカー熱処理工業

パーカー熱処理工業公式HPキャプチャ
引用元:パーカー熱処理工業公式HP
https://pnk.co.jp/

パーカー熱処理工業では、製品として取り扱っているすべての熱処理炉で試作が可能です。自社工業のほか、グループ企業でも受託加工業をおこなっています。熱処理炉メーカーとしてだけでなく、受託加工の経験が豊富にあるため、深い知見が集積。

知見を活かし、小ロットのトライアルから、顧客の量産ロットに相当する中・大ロットまで効率よく試作ができます。試作をした後には、品質評価などが可能。要望通りの製品の製造や高品質な製品が作れる炉を導入できます

パーカー熱処理工業が
対応できる熱処理炉の種類

パーカー熱処理工業で
実際にあった熱処理試作の事例

真空浸炭処理の試作例

自動車(完成車)メーカーからの声

  • 課題

もともとパーカー熱処理工業の真空浸炭炉を利用していた。今回、より深い硬化層を付与しながら、前後工程(加工)とのタクトを揃えるために熱処理時間の短縮がしたかったが、相反する2つの目的を自社で実現することが困難だったため、パーカー熱処理工業に相談。

  • 解決方法

同じ型の真空浸炭炉を使って試作を重ねた。

熱処理条件を高温度域へ振りつつ結晶粒の粗大化を防ぎ、より深い硬化層を短時間で再現できる熱処理条件を確立。理想通りの品質特性の実現と生産性の向上を両立させることができた。

制御ガス窒化処理の試作例

熱処理受託(押出金型)メーカーからの声

  • 課題

金型命数(寿命)を長くすることでコストダウンを図りたい

  • 解決方法

パーカー熱処理工業独自の制御窒化技術を用いてガス窒化処理の試作を重ね、金型命数向上によるコストダウンを実現した。

また、窒化処理条件を適したしたことにより窒化ガス(NH3)の消費量削減と処理時間短縮も同時に叶えることができた。

オーステンパー処理の試作例

熱処理受託加工(自動車部品)メーカー
からの声

  • 課題

自動車の重要保安部品が、法改正により、今まで以上に高い靭性を求められることになった。この規格を実現するためにオーステンパー処理を採用したかったのだが、これまで利用していた設備では品質が安定せず量産条件を満たさなかった。

  • 解決方法

パーカー熱処理工業で試作を繰り返し、塩浴層の深さを製品に適した状態にすることで安定した品質を再現

改めて、新設計されたオーステンパー炉を購入することで、量産化も実現することができた。

浸硫窒化処理の試作例

建設機器メーカーからの声

  • 課題

油圧機器部品の油潤滑性能を向上させるために、薬品を用いた固体潤滑膜を塗装していた。しかし、コストがかかることや環境負荷が大きいことから代替処理を探していた

  • 解決方法

パーカー熱処理工業から、浸硫ガス窒化処理を提案。同じ設備を使用し、試作を繰り返していく中で、従来処理相当の品質特性を実現できた。

さらに、潤滑膜の耐久性が向上したことにより、トータルコストで20%の削減に寄与した。

低温ガス浸炭窒化処理の試作例

歯車加工メーカーからの声

  • 課題

ガス浸炭処理でどうしてもひずみが発生していた。そのため、処理後に矯正を行う必要があり、コストがかさんで困っていた

  • 解決方法

低温ガス浸炭窒化処理プロセスを提案。何度も試作を繰り返し、これまで通りの仕様を満たす条件を確立した。

さらに、セメンタイトの析出を限界まで減らすことにより、機械的性質の向上にもつながった。

パーカー熱処理工業で
試作をしてから熱処理炉を
導入するには

パーカー熱処理工業_炉のイメージ写真
引用元:パーカー熱処理工業公式HP
https://pnk.co.jp/plant/seco/

「望む品質にならない」、「不要な工程を省いてコストダウンさせたい」、「法改正などで新しい処理方法を探している」など、さまざまな場面で試作が必要とされていることがわかりました。

試作をしてみて品質に納得できたら、同様の熱処理炉を購入が可能です。

また、熱処理炉を稼働できない期間には、パーカー熱処理工業が代わりに製品を製造できるため、災害などが発生した時には、まず連絡しましょう。

実際の熱処理炉導入の流れ

試運転時には、炉の操業・点検方法や補用部品の交換手順を社内のシステムエンジニアがレクチャーします。実際に稼働させるまでの心配事など事前に相談して解消しておきましょう。

  1. 課題の抽出
  2. 解決策の検討・ご提案
  3. 試作計画の作成
  4. 見積り提出、受注
  5. 試作(1~3か月)※共同開発など長期に渡るケースあり
  6. 結果の報告
  7. 試作結果を反映した設備の仕様設計
  8. 設備見積り、仕様書の提出
  9. 仕様検討(修正など)
  10. 発注(受注)
  11. 製作(6か月~12か月)
  12. 出荷前立会検査
  13. 現地搬入
  14. 据付工事
  15. 試運転調整
  16. 検収
  17. 定期保守・点検

熱処理炉導入後のサポート体制

パーカー熱処理工業では、年に2回の定期的な保守メンテナンスサービスを行っています。契約締結時に内容を確認しておきましょう。

また、もし急なトラブルが発生してしまった場合には、システムエンジニア部員が直接現地に急行し復旧対応。不具合が起きても安心です。

熱処理炉メーカーによっては、担当者が制御装置などのシステム関連に弱く対応できないことも珍しくありません。パーカー熱処理工業には専門のシステムエンジニア部隊があるため、システムに関する悩みや課題を気軽に質問できます。

編集チームまとめ

部品の試作処理、自社の試験機を用いた特性評価試験、設置後の垂直立ち上げなどを支援しているパーカー熱処理工業。技術センターや加工事業を含めた試作機製作から定期メンテナンスまで、必要となる全工程をカバーするトータルサポートが強みの熱処理炉メーカーです。

製品の試作はもちろん、熱処理炉の導入前に表面熱処理の品質を確かめたい方は、一度パーカー熱処理工業に相談してみてはいかがでしょうか。

パーカー熱処理工業の基本情報

会社名 パーカー熱処理工業株式会社
本社所在地 神奈川県川崎市川崎区田町3丁目13番10号
営業時間 公式サイトに記載なし
電話番号 044-276-1584
公式URL https://pnk.co.jp/