化石燃料に代わる燃料として注目を集めている水素を利用したバーナーが、「水素バーナー」です。ここでは、水素バーナーの特徴と熱処理に活用できる水素バーナーの事例をまとめました。
水素バーナーの顕著な特徴が、二酸化炭素を排出しない水素を燃料として利用している点です。
ただし最高温度の高さや燃焼の速さが影響して、窒素酸化物の発生量が多いという課題があります。昨今では製品開発が進み、窒素酸化物の発生を抑える水素バーナーの開発が進んでいます。
従来は、水素バーナーに有害物質の発生や逆火といった安全性への懸念がありましたが、研究開発が進み、安全性を高めた製品が発売されています。緩慢燃焼により温度を下げて窒素酸化物の発生を抑えたり、空気と燃料に別の導線を引いて逆火に対処したりする対策です。
二酸化炭素排出量ゼロと低NOx(窒素酸化物)性能を実現させた水素バーナーで、中外炉工業株式会社とトヨタ自動車株式会社が協力して開発しました。空気比は1.1、燃料ガス圧力は4.0kPa、燃焼空気圧力は4.0kPa、燃焼容量は型式により58kW~348kWになっています。主な用途は、工業炉やエアヒータの熱源、アルミや鉄の加熱などが想定されています。
東京ガス株式会社と東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社、株式会社正英製作所が協力して、日本初となる排熱回収装置内蔵の水素バーナを開発しました。
二酸化炭素排出量ゼロで、さらに水素専焼により高温熱分野の脱炭素化に役立ちます。また従来のバーナーの部品を交換するだけで導入できるケースもあり、設備改造の手間が少ない点も特徴です。
地球環境を考える動きが高まる中で、二酸化炭素を排出しない水素バーナーの開発や普及が加速していくでしょう。熱処理炉の環境負荷を低減したい企業にとっては、水素バーナーは有力な選択肢です。
当サイトでは、熱処理炉を導入するために知っておきたい役立つ情報を掲載しています。導入前に、以下のページもぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)