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焼き戻し炉

目次

焼き戻し炉とは

焼き戻し炉は焼入れ後の鋼を再度加熱することによって、鋼の硬さを適度に調整しつつ、粘りや耐久性を向上させる熱処理方法です。焼入れで生成された組織のひずみなどをバランスが整ったマルテンサイト組織(※)にします。英語ではテンパリングと呼ばれ、JISの加工記号は「HT」です。

焼入れよって鋼は硬くなるものの、そのままの状態では脆く、割れや破損が起こりやすくなります。そこで焼き戻しを行うことで、鋼をより強靭に仕上げることができます。焼入れと焼き戻しは基本的にセットで行われ、硬さと耐久性を両立した製品が作られています。焼き戻しの方法は、低温焼もどしと高温焼もどしの2種類に分けられます。

※マルテンサイト組織とは、加熱した鋼材を急冷した時にできる組織のことです。結晶構造は、体心立方もしくは体心正方晶となります。

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焼き戻し炉の目的

焼き戻し炉の大きな目的は、鋼の硬度を下げて粘りを出すことです。焼割れを防止し、耐衝撃性や耐摩耗性を向上させるなど材質の改善のために行われます。

150~200度で行われる低温焼もどしは工具鋼の加工に適しており、製品の耐摩耗性を高め、割れを防止。高温焼もどしは鋼材の種類によって、400~650度の適切な温度で処理することで、低温焼き戻しよりも耐熱性や耐熱強度が上がります。

焼き戻し炉に分類される炉の種類

焼き戻しは、焼入れの後に必ず行う必要があります。そのため、焼き戻し炉は焼入れ炉と組み合わせて使われることがほとんどです。

加熱と冷却を交互に行う炉には、バッチ式や連続式の2種類があります。バッチ式とは、ベルトコンベアなどに製品を置き、加熱炉に入れて加熱と冷却を行っていく方式のこと。連続式の場合は、連続して加熱と冷却を行うことができるため、1つの製品の大量生産向きの炉を指しています。

焼き戻し炉での加工が向いている製品

まとめ

焼き戻し炉は焼入れ後の鋼を再加熱し、硬さを調整し粘りや耐久性を向上させる熱処理方法です。焼入れによって硬化した鋼を再加熱することで、割れや破損を防ぎ、より強靭な製品を作り出します。焼き戻しの方法には低温焼もどしと高温焼もどしの2種類があり、工具鋼や機械構造用鋼などの加工に適しています。焼き戻し炉は、硬さと耐久性を両立した製品を作るうえで不可欠な処理です。

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  • 雰囲気制御式ガス窒化炉PCGNe
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(※2 ともに省エネ補助金対象)

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  • ローラーハース式超高温連続熱処理炉 SHRH
  • 急速ガス冷却式真空熱処理炉 QHS/QHN
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※1 参照元:特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/?uri=/c1801/PU/JP-2021-120471/11/ja)※2024年11月8日時点
※2 参照元:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(https://sii.or.jp/koujou05r/system/search)※2024年11月8日時点
※参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)※2024年11月8日時点
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