ここでは、連続式の熱処理炉である回転レトルト型の特徴や事例について紹介します。
回転レトルト型の熱処理炉は、「バッチ式」と「連続式」の操業方式のうち連続式に分類される熱処理炉です。
金属製品への熱処理、小物の焼入れ・焼戻しに多く使用され、回転する炉心管の内部に原料や製品を入れて回転させながら加熱します。回転によって均一に加熱され、品質のばらつきを抑えることが可能です。
回転レトルト型を含む連続式熱処理炉の種類は次のとおりです。
種類 | 用途 |
---|---|
トレイプッシャー型 | 部品の焼きなまし・焼きならし・焼入れ |
ローラハース型 | 部品の焼きなまし・焼きならし・焼入れ |
メッシュベルト型 | 小物の焼入れ・焼戻し |
シェーカーハース型 | 小物の焼入れ・焼戻し |
回転レトルト型 | 小物の焼入れ・焼戻し |
回転レトルト型熱処理炉は、円筒の炉心管を回転させて対象物を撹拌しながら加熱します。さまざまな製品や材料に対応でき、200℃から2000℃以上の高温域に対応しています。
炉心管を含む炉のサイズは、処理する物の量や大きさによって異なります。長円筒の炉内では、ゾーンごとにヒートパターンを設定するなどの温度調節が可能です。
1000℃までの高温に対応し、粉体の焼成に適した回転レトルト炉です。省スペース設計で、パネルヒーターによる加熱と、2kg/hの処理量を確保しています。雰囲気ガスはN2またはN2+O2が使用されます。
試作に使う原料を少量から焼成できる試験用の熱処理炉です。電気ヒーターで温める外熱式で、ゾーンは3ヶ所まで設置できます。レトルトの取り外しと清掃がしやすく、メンテナンス性に優れた設計です。
小型サイズのため、サンプル原料も簡易的に焼成できます。レトルト・接粉部の材質選定〜排ガス処理について、ニーズに合わせたカスタマイズ仕様にも対応しています。
目標温度で雰囲気ガスを切り替えられるほか、水素100%の環境にも対応する回転レトルト型の熱処理炉です。
炉内は、処理物の特性に適した送り構造を採用しています。加熱処理中に化学反応による腐食ガスが発生しないよう、耐食性や耐熱性に優れた材質のマッフルを選べます。
小ロット対応、熱処理試験、少量サンプル製造など、さまざまな用途に対応しています。
回転レトルト型の熱処理炉は、円筒型の炉心管の中で処理物を回転させながら加熱する工業炉です。
回転によってムラなく熱を加えられるほか、製品によってはゾーンごとに温度を調整しながら加熱できるなど、処理に関連するさまざまな課題に対応できます。
当サイトでは、熱処理炉の製造販売メーカーや基礎知識について紹介しています。「あわせてよく読まれている記事」もぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)