焼きならし炉

焼きならし炉とは

焼ならし炉は変態点以上の温度で鋼を再加熱し、空気中で自然冷却することによって、鋼の強靭性を向上させる熱処理方法です。英語ではノーマライジングとよばれ、JISの加工記号は「HNR」です。

鋳造、鍛造、圧延などの方法で製造される鋼材は鋼の組織にムラがあり、加工するとひずみが生じてしまいます。焼きならしを行うことで鋼の組織を均一化が可能です。

また、外部からの力や熱によって鋼の内部に残った残留応力も除去することができます。

メーカー選びに困らない！
信頼できる熱処理炉メーカー3選を
チェック

焼きならし炉の目的

焼ならし炉の主な目的は、鋼の結晶粒を整粒化して均一にならすことです。焼ならしを通じて組織の均一性を確保できるので、加工後にひずみやムラができにくい鋼を得られます。

冷却した際の温度管理が不十分な場合は、応力や組織の均一化するために焼ならしをしますが、硬度を上げるために使われることはありません。

焼きならし炉に分類される炉の種類

近年の熱処理炉や熱処理設備では品質が向上しており、焼きならし炉が不要になりつつあります。ただ、調質などのためには焼きならし炉が必要となる場面もあることでしょう。

ひずみや割れなどを防ぎたい製品を製造する際に、目的に合わせて焼きならし処理を行いましょう。

普通焼ならし：強度向上
二段焼ならし：大型部品の内部割れ防止
二重（ダブル）焼ならし：強度向上
等温焼ならし：低C合金鋼やS-C材の被削性向上

焼きならし炉での加工が向いている製品

機械構造用鋼
低炭素鋼
新幹線の車輪やレール

まとめ

焼きならし炉は鋼を変態点以上に加熱し、自然冷却することで鋼の強靭性を向上させる熱処理炉です。鋼の組織を均一化し、残留応力を除去することによって、加工後のひずみやムラを防ぎます。焼きならし炉の種類には、普通焼ならし、二段焼ならし、二重（ダブル）焼ならし、等温焼ならしがあります。加工したい製品によって、適した方法で処理する必要があります。

※参照元：熱処理用語の解説（https://daiichis.work/word/y07.html）

※参照元：株式会社プロテリアル公式HP（https://www.proterial.com/blog/st/st018.html）

※参照元：田中和明(著)「図解入門　よくわかる最新表面熱処理の基本と仕組み」秀和システム,2022/08,(28p,40p)

あわせてよく読まれている記事

熱処理炉に求める効果から選ぶ
おすすめの熱処理炉メーカー3選

「日本工業炉協会」の正会員である工業炉メーカー112社のうち、熱処理炉を扱う62社を調査。
その中から、自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界に必要な熱処理方法からメーカーを分類し、各社の熱処理炉の強みや特徴を紹介します。熱処理炉に求める効果から、自社に適した熱処理炉を選んでください。

合金鋼やステンレスなどの
耐摩耗性や耐疲労性を
高めたいなら

パーカー熱処理工業