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焼入れ炉

目次

焼入れ炉とは

焼入れ炉は金属加工方法の一つで、鋼を変態点以上まで加熱し、一定時間保持した後に急速に冷却する熱処理方法です。鋼を高温のオーステナイト(※1)の状態に加熱してから迅速に冷却し、マルテンサイト組織(※2)に変化させることを焼入れと言います。

「焼入れ」は英語ではハードニング(硬化)、クエンチング(急冷)、クエンチハードニング(急冷硬化)などと呼ばれています。JISの加工記号は「HQ」です。

焼入れでどのくらい鋼が硬くなるかは、鋼に含まれる炭素の量、および炭素以外の合金元素によって決まります。焼入れ性が高い鋼は冷却媒体を選ばずに硬化しますが、焼入れ性が低い鋼は水などで急速に冷却する必要があります。

※1 オーステナイトとは、鋼を加熱することで、結晶構造が体心立方から面心立方に変わることを言います。
※2 マルテンサイトとは、化学組成はオーステナイトと同様ですが、結晶構造が体心立方または体心正方晶となる状態のことを指します。オーステナイト状態の鋼を冷却するとマルテンサイト状態に変化します。

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焼入れ炉の目的

焼入れ炉の目的は、鋼を硬化させることです。素材の組織が変化する温度である変態点を超えるまで鋼を加熱した後、急速に冷却することによって鋼の強度が増します。冷却の速度が遅くなると、マルテンサイトの生成量が減り、強度は上がりません。

このように冷却速度が肝となりますが、浸炭熱処理や浸炭窒化処理など処理方法を変えることで、強度や靭性を上げることも多くあります。機械構造用鋼や工具鋼は、焼入れ処理によって目的に応じた強度に加工されています。

焼入れ炉に分類される炉の種類

焼入れ炉には、表面だけを焼入れに適した温度に熱しておき、活性炭素を拡散侵入させる、浸炭炉や真空浸炭炉、浸炭窒化炉などが分類されます。また、焼入れと焼き戻しは基本的にセットで行われています。

焼入れ炉での加工が向いている製品

まとめ

焼入れ炉は鋼を変態点以上に加熱した後に急冷する熱処理方法で、鋼を硬化させる一般的な手段です。焼入れ性が高い鋼は冷却媒体を選ばずに硬化し、焼入れ性が低い鋼は急速に冷却する必要があります。焼入れ炉には真空焼入れ、浸炭焼入れ、高周波焼入れ、窒化焼入れなどの種類があり、機械構造用鋼、工具鋼、精密部品などの加工に適しています。

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  • 急速ガス冷却式真空熱処理炉 QHS/QHN
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※1 参照元:特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/?uri=/c1801/PU/JP-2021-120471/11/ja)※2024年11月8日時点
※2 参照元:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(https://sii.or.jp/koujou05r/system/search)※2024年11月8日時点
※参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)※2024年11月8日時点
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