ここでは熱処理炉の試験について紹介します。
熱処理炉試験は、焼成する材料の確認や焼成に必要な温度の検証に役立てられている方法です。管状炉・箱型炉・遠赤外線加熱炉といった試験用の炉を使い、試料の物質変化・耐熱性の評価が行われます。
熱処理炉は焼入れや焼戻しといった方法で材料の性質を変性させる炉ですが、炉のサイズ感や温度調整といった細かな部分も事前に確認しておかなければなりません。
焼成する材料を前もって用意し、試料として本番と同じ条件または条件を変更して検証することにより、根拠のある設定・熱処理炉が確定し、よりよい条件下で熱処理を行えるようになります。
熱処理炉の試験は、試験片(ワーク)を使って行われます。溶融試験、燃焼実験はいずれも物質変化のための試験です。プラスチックや金属といった素材を燃焼させて、燃焼や溶融の状況を確認する方法です。
発生ガス分析試験(EGA)は、高温の状態で発生する雰囲気・ガスの分析を行うなど、目的に合わせた試験を行います。熱処理炉を使用した「熱重量測定」は、TG試験とも呼ばれています。試料を決められた速度で加熱冷却、または一定の温度で保温した際の重量変化を測定する方法です。
鋼材に熱を加えたときに起こる脱炭現象の解析には脱炭試験が、試料が高熱の真空下でどのように変化するのかを確認する試験も実施されています。
熱処理炉試験では、温度や炉の種類を変更しさまざまな条件下で試験が行えます。要望に沿って試験を実施するため、温度や水分量について細かく条件を定めておくと、試験までの流れがスムーズです。
試験結果が良好であればそのまま本番へ移れますが、良好ではない場合もあります。専門的なアドバイスを受けて、よりよい条件を設定したうえで再度試験を行い、本番に活かしましょう。
熱処理炉では電気またはガスを使用して高温環境をつくります。どちらの熱源が適切かは、試料となるワークの素材やサイズ、目的によって異なります。
熱処理炉は試料のサイズや素材に合わせて選ぶのが基本ですが、熱源の切り替えに対応しているハイブリッド型も選べるため、メーカーに相談のうえ適切な炉を選びましょう。
電気とガスはどちらもエネルギーコストが生じるため、コストパフォーマンスの観点からも両方の熱源に注目し、比較検討することをおすすめします。
試験用の熱処理炉では、試料を本番と同じ環境でテストして変化や効果を確認できます。試作品開発や性能向上といった用途にも活用できるため、試験を効果的に活用したいところです。
当サイトでは、熱処理炉の基本的な事柄や注意したいリスクアセスメント、温度管理や火災事例などを取り上げています。以下のページも導入前の参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)