ここでは箱型の熱処理炉について紹介します。
箱型の熱処理炉は、「バッチ式」と「連続式」の操業方式のうち、バッチ式に分類される熱処理炉です。
箱型を含むバッチ式熱処理炉には次のような種類があります。
種類 | 用途 |
---|---|
箱型 | 部品の焼きなまし・焼きならし・焼入れ・焼戻し |
ベル型 | 部品の焼きなまし |
ピット型 | 長物の焼きなまし・焼入れ |
※箱型は「マッフル」、ベル型は「カバー型」とも呼ばれます。
箱型の熱処理炉は、箱の形をしており場所を取らないサイズ感の製品が揃っています。電気または燃焼による熱源で作動し、形状やサイズなどは製品ごとに異なります。持ち運びも可能な卓上型など、限られた作業環境でも設置しやすい点がメリットです。
寸法や温度範囲などはオーダーメイド対応のため、ニーズに合わせてリクエストできます。コンパクトサイズから大型で長物が扱える箱型熱処理炉まで、サイズのバリエーションが豊富に揃っています。
400〜1,800度までの処理温度に対応した箱型炉で、高温の状態でも炉体の表面温度を低温化できるモデルです。
安全装置やプログラマを標準装備し、オプションで雰囲気制御が行えるマッフルもラインナップしています(モデルによって最高温度が異なります)。卓上タイプや少量生産に適したタイプなども揃っているので、ニーズに合う型式が選べます。
電気を熱源とする脱着式の箱型炉です。箱型炉に堅牢なSUS310S製の着脱式マッフルケースを組み込んだ構造です。
ガス導入系を増やすことで各種雰囲気に対応し、真空ガス置換も行えます。複数のガス導入回路の設置や他の既成炉への増設はオプションで相談できます。
省電力で軽量、ワークが出し入れしやすい上蓋式・ポット型の電気炉です。
蓋がついているので、るつぼを使用する金属溶解にも適しています。小型のタイプは約15kgと軽く、大型タイプでも約40kg。大型にはキャスターがついているので、一人でも移動させられます。
熱処理炉は加熱炉や工業炉とも呼ばれ、汎用性の高いバッチ式は2種類の熱源と、4種類の型式に分けられます。
加熱や溶解、焼入れ・焼きなましといった幅広い用途に用いられるため、オーダーメイドで製作されることもあります。炉の分類や用途、型式の違いをチェックして、利用用途に適したタイプを選んでみてはいかがでしょうか。
当サイトでは、熱処理炉の基礎知識や製造・販売を手掛けるメーカー、試作に対応しているメーカーの実例などを取り上げています。熱処理炉について知りたい方や、メーカーごとの違いをチェックしたい方はぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)