ここではベル型の熱処理炉について紹介します。
ベル型の熱処理炉は、「バッチ式」と「連続式」の操業方式のうち、バッチ式に分類される熱処理炉です。
ベル型を含むバッチ式熱処理炉には次のような種類があります
種類 | 用途 |
---|---|
箱型 | 部品の焼きなまし・焼きならし・焼入れ・焼戻し |
ベル型 | 部品の焼きなまし |
ピット型 | 長物の焼きなまし・焼入れ |
※箱型は「マッフル」、ベル型は「カバー型」とも呼ばれます。
ベル型の熱処理炉は、熱源が電気または燃焼によって作動します。外蓋・内蓋・ストーブ部の3つから構成され、気密性の高さが特徴です。
炉への装入量によって、角形と丸型の炉に分かれ、どちらも熱の損失が少ない構造です。ベル型は焼きなましの工程などに使用されることが多く、熱効率の高さがメリットといえるでしょう。
銅合金の光輝焼きなましに使用できるベル型光輝焼鈍炉です。
酸洗不要でメタルロスがなく、廃水の処理も不要なため、環境に配慮した熱処理炉です。ジェネレーティブバーナーを採用しているため、低NOxかつ24.1%の省エネ効果が得られます。
酸洗不要で100%水素ガス雰囲気の、真空パージ光輝焼鈍炉です。
温度は100〜800度までに対応し、銅合金(条・線・重量物など)やアルミ箔帯、鍛造品の光輝焼きなましに使用できます。リジェネバーナーと100%水素ガス雰囲気により25%の省エネ効果と、熱風循環により温度分布を±5℃以下に抑えます。
オーストリアのEBNER社製ベル型焼鈍炉です。
鉄鋼・自動車・非鉄金属と幅広い業種に対応し、材料は高対流で処理され光輝な表面仕上げが得られます。NOxのような排出物を抑えられる環境への配慮も行き届いたモデルです。
水素雰囲気100%の焼鈍炉で、アルミや鉄鋼、銅といった分野に実績をもち、多品種・小ロットに対応しています。
内部には高対流循環ファンを搭載。省エネ効率や表面品質、生産能力や均一加熱性を追求し、さらに操業時の簡便性も考慮した機能性が特長です。
ベル型は、工業炉のなかでも焼きなましの工程に使用されることが多い熱処理炉です。
均一な仕上がりやムラを減らして絞り性を高める工夫など、製品によっては高機能なものも選べます。
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2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)