高温にさらされ続ける熱処理炉では、内部の部品を適切な時期に交換する必要があります。古いものを使い続けていると、機械本体へのダメージはもちろんのこと、炉の性能や品質にも関わってしまうため、タイミングをみて部品の交換を行うようにしましょう。ここでは熱処理炉の部品交換に関して、依頼のタイミングなどをまとめています。
熱処理炉の部品は、使用状況や年数に応じて劣化していきます。老朽化が進むと、断熱材などが劣化していき炉内にもダメージが蓄積してしまいます。
目安としては、新設から約30年が交換のタイミングです。ただし、30年を待たずにガス臭さや着火の不具合などがみられる場合には、点検・メンテナンスを行ってください。
例外的な状況としては、災害による被災が挙げられます。地震や津波で熱処理炉が被災した場合は、正しく稼働できるか確認したうえで洗浄や再利用、必要に応じて部品の交換を実施します。
熱処理炉は常に高温の環境であるため、消費電力の確認や温度計測を正確に行いながら稼働状況をチェックしましょう。部品などの劣化がみられる場合は早めに交換を検討しましょう。
熱処理炉の本体は、稼働状況に応じて修理やオーバーホールが必要です。必要に応じて炉体の解体を行い、内部で固まった材料があれば除去し、古い部品と新規部品の交換を行います。
解体した炉体は炉枠の補修や組み立てを行い、セメント加工などを実施して据え付けを行います。
断熱材は、炉内の温度を逃さずしっかりと閉じ込めながら、内部から外部への熱伝導を遮断するために用いられています。
セラミックファイバーやアルミナファイバーなどさまざまな材料が使われていますが、経年劣化を起こすと断熱性能が落ちてしまうため、定期的な補修が必要です。
断熱材以外では、断熱レンガを使って熱を遮断しているケースも多いため、レンガの劣化がみられる場合は部分的な補修も必要になります。
熱処理炉の内部には、ラジアントチューブやファンシャフト、ハネやローラーといった部品が取り付けられています。いずれも高温の環境下で使用し続けていると劣化を起こすため、定期的な点検・交換が欠かせません。
熱源であるヒーターやバーナーは、繰り返し使用することで劣化していきます。熱電対線を使用している熱処理炉では、劣化している場合は張り替え交換が必要です。
熱を発したり高温になったりする部品は熱処理炉の中でも劣化スピードが早いため、寿命の前に劣化が進む場合があります。これらの部品に何らかの不具合が発生し炉内の温度が上がらない場合は、熱源の確認と交換を行ってください。
大きな部品としては、コンベアーも使用年数に応じて劣化を起こすため、部分補修・新規製作などが必要になります。性能を向上させるための改造も必要に応じて実施します。
熱処理炉を正常に稼働させるには、本体だけではなく部品の点検・修理・交換が大切です。
部品ごとに耐久年数が異なることはもちろん、断熱材などの素材によっては通常の寿命よりも早くにメンテナンスが必要になる場合もあるため、プロによる点検・修理を定期的に実施することをおすすめします。
当サイトでは熱処理炉のメンテナンスがなぜ必要なのかについても紹介しています。本記事とあわせて、ぜひ以下のページも参考にしてください。
「日本工業炉協会」の正会員である工業炉メーカー112社のうち、熱処理炉を扱う62社を調査。
その中から、自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界に必要な熱処理方法からメーカーを分類し、各社の熱処理炉の強みや特徴を紹介します。熱処理炉に求める効果から、自社に適した熱処理炉を選んでください。