熱処理炉の種類
熱処理炉には処理方法や目的に応じて、さまざまな種類が存在します。
ここでは熱処理炉を大きく7つに分類し、それぞれの特徴を紹介しています。熱処理炉にはどのような種類があるのか知りたい方はぜひチェックしてください。
焼入れ炉の特徴
引用元HP:東京ガスエンジニアリングソリューションズ公式HP
https://www.tokyogas-es.co.jp/business/equipment/combustion/lib.html
焼入れ炉は、鋼を変態点(※1)以上に加熱し急冷することで硬化させる熱処理炉です。焼入れ炉には真空、浸炭、高周波、窒化などさまざまな種類があります。鋼品質の均一化、表面硬化、エネルギー省力、強度向上などを目的として機械構造用鋼や精密部品に用いられます。
※1 変態点…温度が上昇または下降したときに結晶構造が変化する現象のことを変態といい、変態する温度を変態点と言います。
焼き戻し炉の特徴
引用元HP:日本ガスエンジニアリング公式HP
https://www.nihongas-eng.co.jp/products/industry/
焼き戻し炉は焼入れ後の鋼を再加熱しながら硬さを調整し、粘りや耐久性を向上させるための熱処理炉です。焼入れで硬くなった鋼がもろくなるのを防ぎ、割れや破損を予防。処理方法には低温焼もどしと高温焼もどしの2種類があり、工具鋼や機械構造用鋼などに役立ちます。
焼きなまし炉の特徴
引用元HP:中外炉工業公式HP
https://chugai.co.jp/pro_01_parts_07/
焼きなまし炉は鋼を軟化させ、組織を均一化する熱処理を行う炉です。拡散焼なまし、球状焼なまし、応力除去焼なましなど多くの方法があり、鋼材を軟化させて加工しやすくするのが主な目的です。鉄鋼材料全般、非鉄鋼材料全般、結晶粒が粗大化した熱間鍛造品や鋳鋼品などの分野で用いられます。
焼きならし炉の特徴
引用元HP:中外炉工業公式HP
https://chugai.co.jp/pro_01_parts_07/
焼きならし炉は、鋼を変態点(※1)以上で加熱し自然冷却することで、鋼の強靭性を向上させるほか、残留応力(※2)を取り除く熱処理炉です。処理方法には普通焼ならし、二段焼ならし、二重焼ならし、等温焼ならしなどがあります。焼きならし炉は機械構造用鋼や低炭素鋼などの製品に用いられ、加工後のひずみやムラを防止します。
※2 残留応力…変態や冷却の過程で鋼に蓄積される力のこと。鋼材のひずみや劣化、破損などを引き起こします。
浸炭炉の特徴
引用元HP:中外炉工業公式HP
https://chugai.co.jp/pro_01_parts_04/
浸炭炉は低炭素鋼の表面に高炭素層を作る熱処理炉です。鋼の表面に高炭素層を形成し、内部を低炭素状態に保つことで、金属の強度と耐摩耗性を向上させます。浸炭炉にはガス浸炭、液体浸炭、真空浸炭、浸炭窒化など種類が豊富です。肌焼き鋼、低炭素鋼、快削鋼などの鋼材に使用されます。
真空炉の特徴
引用元HP:IHI機械システム公式HP
https://www.ihi.co.jp/ims/products/vacuum/index.html
真空状態の炉内で熱処理を行う炉を真空炉と言います。鋼材の酸化を防ぐほか、素材表面の光沢を維持させるのが大きなメリット。真空炉には一室型と多室型の2種類があり、主な加工対象は超硬工具用高級鋼、電子製品材料、自動車部品などです。
窒化炉の特徴
引用元HP:中外炉工業公式HP
https://chugai.co.jp/pro_01_parts_04/
窒化炉は鉄鋼製品の表面を強化させるための熱処理炉です。窒化の生成方法によってガス窒化、ガス軟窒化、塩浴軟窒化などに分類されます。窒化炉は素材の形状変形が少ないため、主に精密部品の製造加工に利用されています。
熱処理炉に求める効果から選ぶ
おすすめの熱処理炉メーカー3選
「日本工業炉協会」の正会員である工業炉メーカー112社のうち、熱処理炉を扱う62社を調査。
その中から、自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界に必要な熱処理方法からメーカーを分類し、各社の熱処理炉の強みや特徴を紹介します。熱処理炉に求める効果から、自社に適した熱処理炉を選んでください。
合金鋼やステンレスなどの
耐摩耗性や耐疲労性を
高めたいなら
パーカー熱処理工業
※画像引用元:パーカー熱処理工業公式HP
(https://pnk.co.jp/)
おすすめの理由
表面熱処理に
特化した炉を扱う
- 合金鋼やステンレスの窒化技術において特許を取得(※1)しており、耐食性を落とさずに耐疲労性や耐摩耗性を高める熱処理炉がある
- 60年にわたる表面熱処理の経験を基に、省エネと高精度を追求した独自技術の開発を通じて品質向上を支援
表面処理ができる熱処理炉例
- 真空浸炭炉「ICBP NANO」
- 雰囲気制御式ガス窒化炉PCGNe
など
(※2 ともに省エネ補助金対象)
パーカー熱処理工業の
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る
電話で問い合わせしてみる
アルミニウムやマグネシウム
の軽さと高強度を
両立させたいなら
北陸テクノ
画像引用元:北陸テクノ公式HP
(https://www.h-techno.com/)
おすすめの理由
アルミ熱処理に
特化した炉を扱う
- 最大85℃の高水温で水冷することでアルミニウムやマグネシウムの歪みを減らしながら強度を高める熱処理が可能
- 冷却水を常にクリーンに保つことで不純物の付着を低減でき、素材本来の特性を保持しつつ品質の高い製品づくりに貢献
T6処理ができる熱処理炉例
- アルミニウム、マグネシウムのT6熱処理炉
- アルミニウム、マグネシウムの連続T6熱処理炉
北陸テクノの
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る
北陸テクノに
電話で問い合わせする
耐熱合金やチタンなどの
高温強度や耐食性を
高めたいなら
大同特殊鋼
画像引用元:大同特殊鋼公式HP
(https://www.daido.co.jp/)
おすすめの理由
耐熱処理に
特化した炉を扱う
- 航空宇宙業界などで使われる非鉄系金属に対して2000℃レベルの高温での真空熱処理ができる熱処理炉がある
- 独自の研究や開発を行っており、高温化で利用される金属に対する知見があることから高温強度や耐食性を高めるための技術提供ができる
耐熱処理ができる熱処理炉例
- ローラーハース式超高温連続熱処理炉 SHRH
- 急速ガス冷却式真空熱処理炉 QHS/QHN
など
大同特殊鋼の
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る
大同特殊鋼に
電話で問い合わせする