熱処理炉の中には小型のものもあります。ここでは、小型の熱処理炉とは何か、どのような製品事例があるかなどを解説していきます。
一般的な熱処理炉と比較して小型なものがあります。小型の熱処理炉の特徴などから見ていきましょう。
小型であることから軽くて移動しやすいことや、小さなスペースでも設置しやすいのが特徴です。中には卓上で利用できるような製品もあります。
また、持ち運びしやすい製品もあるため、複数の場所に移動して使う必要があるときにも小型のものだと便利です。
小型の熱処理炉では、加熱炉としてプッシャー式が採用されているケースが多いです。プッシャー式とは、加熱処理する対象をトレイに載せ、それを連続で押す搬送方法を用いた炉のことをいいます。
なお、小型といっても機能が限定的なものではなく高性能な製品が多いです。
実際に小型の熱処理炉にはどのような製品があるのでしょうか。ここでは製品事例を紹介します。
小型ボックス炉(小型箱型炉)です。ラインアップとして、5つのシリーズが展開されています。
小型でありながらシリーズによって異なるものの最高使用温度は1,800℃、常用使用温度範囲は最大で1,750℃です。シリーズの中で最も小さいのがKBF848N2であり、サイズは幅342×高さ639×奥行き525mmと、省スペースで設置できます。
ヒーターと制御盤が一体化している小型精密熱処理炉です。冷却には金属製ファンが採用されており、急冷時にはファンを作動させることによって400℃近辺まで約4℃/minでプログラム降温が可能です。
急冷が求められるシーンにもしっかり対応できます。卓上型で、サイズは幅400×高さ729×奥行き779mmです。
3層レフレクターを標準装備することによって水冷を不要とした超小型真空雰囲気電気炉です。簡単操作が特徴です。
最大温度は950℃、常用温度はRT~900℃となっています。詳細なサイズは不明ではありますが、卓上型タイプ小型真空電気炉です。
オプションとして用意されている観察窓を選択すれば炉内部の観察ができるほか、内部へ測定ポートを装着すれば内部資料温度のデータ収集もできるようになります。
熱処理炉の中には非常に小型なものもあり、大型のものは設置できないようなケースでも検討が可能です。持ち運びしやすいものであれば、様々な場所に移動して使うこともできます。
大型の製品と比較すると、どうしても最高使用温度が低くなることもあるので、注意が必要です。一口に小型といっても選択する製品によって大きさや価格、特徴が異なるので、導入する場合はよく確認しましょう。
以下のページでは他にも役立つ熱処理炉の基本情報を紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)