熱処理炉の中には、ハイブリッド型と呼ばれるものがあります。ここでは、ハイブリッド型の熱処理炉とはどういったものなのか、どのような製品事例があるのか紹介します。
ハイブリッド型の熱処理炉とは、どういったものなのでしょうか。特徴や仕組みを紹介します。
ハイブリッドとは、異なるものを組み合わせたり掛け合わせたりすることをいいます。熱処理炉でハイブリッド型とされるものの多くは、2つの熱源を採用しているものが多いです。
また、熱源ではなく、ローラーハース方式やトレイプッシャー方式などの仕組みを組み合わせたものもあります。
電気とガスのように熱源を組み合わせたタイプのものは、工程毎に適した熱源を利用できるものが多いです。これにより、熱処理の工程に合った熱源を選択できるので、無駄を省いて省エネにつながります。
任意の熱源に切り替えて使えるものや、2つの熱源を併用するものもあります。
実際にハイブリッド型の熱処理炉にはどのようなものがあるのでしょうか。製品事例を紹介します。

北陸テクノ株式会社が展開するT6熱処理炉シリーズのうち、アルミニウム・マグネシウム向けの仕様では、昇温時にガスバーナー、均熱時に電気ヒーターを用いるハイブリッド型を採用しています。工程に応じて熱源の特性を活かしやすいのが特徴です。
同シリーズはAMS米国航空宇宙規格に対応しており、アルミニウムやマグネシウムの焼入れ、焼戻し、溶体化処理、時効処理に対応。最大85℃の高水温で水冷することで、歪みを抑えながら強度向上を図れるとされています。また、冷却水を常にクリーンに保つことで不純物の付着を低減し、素材本来の特性を活かした品質の高い製品づくりに貢献します。
仕様1では、1回当たりの処理量(MAX)は1,000kg/バスケット、水没までの時間は15秒未満、炉内温度精度は±5.5℃。炉内搬送方式にはローラー駆動方式を採用しています。ハイブリッド型の熱処理炉を検討する際に、アルミニウムやマグネシウムのT6熱処理向け事例として参考にしやすい製品です。

株式会社ワイエイシイデンコーによる熱間鍛造、ビレット加熱などに活用できる加熱炉です。誘導加熱と遠赤外線加熱を用いたハイブリッド型の装置です。従来の製品と比較して省エネ効果が20%アップしました。また、CO2排気量も抑えられています。

中部電力株式会社と株式会社エコムが共同開発した超コンパクトモジュール型ハイブリッド熱処理炉です。熱源として電気とガスを採用し、これらの相互切替ができます。従来製品よりも7割以上コンパクトであり、かつ約6割の省エネを達成しました。

正英製作所が開発設計・製作を行った熱源ハイブリッド熱処理炉です。通常はガスが使用されることが多いアルミ鋳造熱処理の熱源に環境負荷の低い電気式の工程を部分的に導入しました。これにより、熱処理のエネルギー使用量を約39%削減できたほか、CO2排出量も抑えています。

中部電力株式会社とエコムが共同開発開発したハイブリッド熱処理炉です。熱源を高出力で急速に加熱可能なガスバーナと、高精度な温度制御ができる電気ヒータのハイブリッド形式にしました。また、循環ファンのインバータ制御も採用し、従来製品と比較して59%の省エネルギーを達成しています。
ハイブリッド型の熱処理炉は従来のものと比較すると省エネ性能に優れていることが多く、処理に関するコストを抑える効果を期待することもできます。 高性能な熱処理炉を導入したいと考えているのであれば、ハイブリッド型も検討してみると良いでしょう。
以下のページでも熱処理炉に関する情報を紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
「日本工業炉協会」の正会員である工業炉メーカー112社のうち、熱処理炉を扱う62社を調査。
その中から、自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界に必要な熱処理方法からメーカーを分類し、各社の熱処理炉の強みや特徴を紹介します。熱処理炉に求める効果から、自社に適した熱処理炉を選んでください。


