真空炉
真空炉とは
真空炉は、その名の通り真空状態もしくは低真空状態で行う熱処理に対応した炉のことです。熱処理部品の種類によって、一室型真空炉と多室型真空炉の2種類に分かれます。
一室型真空炉は加熱と冷却を同じ室で行うため、急激な温度変化に耐えられる素材が使用されます。表面の汚染や変形に敏感な製品の処理に向いていると言えるでしょう。一度に1つの処理しかできないため生産性が低い点がデメリットです。
一方、多室型真空炉は、搬送・加熱・冷却をそれぞれ異なる室で行う方法。自動化が可能なため生産性が高いことがメリットです。ただし、冷却液による汚染や高速冷却による歪みなどのリスクがあります。
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真空炉の目的
真空炉の主な目的は、鉱物の表面を酸化させずに加工することです。空気中の酸素に触れずに処理ができるため、表面の酸化や脱炭を防げるのが大きなメリットです。そのため、熱処理した後にステンレスなどの光沢を維持することができ、高級鋼の熱処理に用いられています。
真空炉は表面の清浄性が高いため、異なる金属同士でもきれいに接合および加工が可能。ゆるやかに加熱や冷却するため、鉱物の歪みを減らせるのも特徴の1つです。
真空炉に分類される炉の種類
浸炭炉の1つに真空浸炭炉があります。
真空状態だと浸炭しやすく、チタン合金やステンレス鋼といった大気圧下では浸炭しない素材に対しても浸炭処理を行えます。短時間で浸炭できるのもメリット。逆に、過剰に浸炭が進行しないよう、ガス圧を制御することが大切です。
- 一室型真空炉:表面の汚染や変形に敏感な対象物の処理
- 多室型真空炉:焼入れ性が低く、冷却速度に敏感な金属材料の処理
- 真空浸炭:表面酸化物の除去
真空炉での加工が向いている製品
- 超硬工具用の高級鋼
- マグネットやコンデンサなどの電子製品材料
- 自動車部品や産業機械部品
まとめ
真空炉は真空状態でおこなう熱処理方法で、鉱物の表面を酸化せずに加工することで脱炭を防ぎ、光沢を維持する技術です。一室型真空炉と多室型真空炉に分けることができ、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。
異なる金属同士でもゆがみなく接合できる真空炉は、超硬工具用の高級鋼、電子製品材料、自動車部品、産業機械部品などさまざまな製品を加工できます。
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