熱処理炉を利用するうえで知っておきたい情報のひとつが、上昇気流です。上昇気流は自然界だけで発生する現象ではなく、熱処理炉内でも発生します。熱処理炉内で上昇気流が発生した場合には、熱処理の精度が不安定になるトラブルを引き起こします。ここでは、熱処理炉の上昇気流が発生する原理と抑制・循環の方法を解説しているので、参考にしてみてください。
熱処理炉内では、上昇気流が発生しています。多段式の熱処理炉においては、内部で温められた空気が上昇して、各段の隙間からさらに上部へ昇ります。そして熱された空気は上部の隙間から逃げていきます。
熱処理炉内の空気が減少していくと、それを補うために外部から空気が入り込んでくるため、炉内の上部と下部で温度にバラつきが生じます。このように熱処理炉内の上昇気流の発生は温度の均一化を阻害してしまうため、発生しないように工夫が必要です。
熱処理炉内で上昇気流が発生してしまうと、炉内の上部と下部で温度にバラつきが生じてしまうので、対策として、多段式の場合には各段の隙間をできるだけ減らし、上昇気流を抑制する方法があります。温められて上昇していく空気の量を減らして、各段の滞留や温度のバラつきの抑制が可能です。
他にも、熱処理炉内で上昇気流を循環させる方法もあります。温められた空気が外部に漏れて、外部から冷たい空気が入ってしまう悪循環では、熱処理炉内の温度にバラつきが生じます。そこで炉内から漏れる空気を抑制して、炉内で温められた空気を循環させれば、温度の維持が可能です。
こうした上昇気流への対策が施されているかどうかは、工業用熱処理炉における非常に重要なポイントです。
熱処理炉を正しく運用するためには、温度管理を左右する上昇気流の原理と抑制・循環について正しく理解しましょう。
当サイトでは熱処理炉を導入するために知っておきたい役立つ情報を掲載しています。導入前に、以下のページもぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)