浸炭炉
浸炭炉とは
浸炭炉は、低炭素鋼の表面に高炭素の層を形成する熱処理方法です。低炭素鋼が高温になるとオーステナイト組織(※)に変化し、浸炭性ガスと接触することで、炭素が鋼の表面から内部へと浸透し拡散します。これにより、鋼の内部は低炭素状態を保ちつつ、高炭素の表面層を形成できます。
浸炭処理の後には、必ず焼入れを行ってください。
※1 オーステナイト組織…温度が723℃以上で安定する組織のこと。ニッケルやマンガンを多く含むことで安定します。
浸炭処理の方法には液体浸炭、ガス浸炭、真空浸炭、プラズマ浸炭などがあります。中でもガス浸炭を用いた処理が一般的です。鋼鉄を熱処理するためには、炉内の空気を排除してガスに置換する必要があります。このようなガスは雰囲気ガスと呼ばれ、雰囲気ガスで炉内の空気を置換した浸炭炉は雰囲気ガス炉といいます。雰囲気ガスの種類は次のとおりです。
- 不活性ガス:アルゴン、ヘリウム
- 中性ガス:窒素、水素、アンモニア分解ガス
- 酸化性ガス:酸素、水蒸気、炭酸ガス
- 還元性ガス:水素
- 浸炭ガス:一酸化炭素、短酸水素ガス、都市ガス、アルコールやエーデルの分解ガス
- 窒化ガス:アンモニアガス、窒素
メーカー選びに困らない!
信頼できる熱処理炉メーカー3選を
チェック
浸炭炉の目的
金属疲労が発生すると鋼材の表面に亀裂が生じ、最終的には鋼材が壊れてしまう恐れがあります。浸炭炉の目的は、金属の表面層における炭素含有率を0.7%~0.9%に調整して焼入れを行うことによって、材料の組織をマルテンサイトに変化させ、硬度と引張強度を向上させることです。浸炭処理を施すことによって、金属の疲労強度と耐摩耗性が強化されます。
浸炭炉に分類される炉の種類
浸炭炉は種類が豊富です。炭素源はそれぞれの処理方法によって変わります。
ガス浸炭はメタノールや炭化水素ガスを、液体浸炭はシアン化ナトリウム溶融塩、真空浸炭はプラズマ浸炭の場合炭化水素ガスを、浸炭窒化処理の場合には炭化水素ガスとアンモニアを使います。
- ガス浸炭焼入れ:鋼材の炭素濃度の調整
- ガス浸炭窒化焼入れ:低炭素鋼や低合金鋼など、合金成分の少ない鋼材の処理
- 液体浸炭(ソルト浸炭焼入れ):均一で歪みが少ない浸炭処理
- 真空浸炭:表面酸化物の除去
- 浸炭窒化炉:低炭素鋼、快削鋼および低合金鋼の加工
浸炭炉での加工が向いている製品
まとめ
浸炭炉は低炭素鋼の表面に高炭素の層を形成する熱処理方法です。鋼の内部は低炭素状態を保ちつつ、高炭素の表面層を形成。金属の表面層における炭素含有率を調整し、材料の組織をマルテンサイトに変化させることで、鋼材の強度を向上させます。
浸炭炉には、ガス浸炭焼入れ、ガス浸炭窒化焼入れ、液体浸炭、真空浸炭、浸炭窒化炉などの種類があり、肌焼き鋼、低炭素鋼、快削鋼などの加工に用いられます。
炉の熱源は主にガスや電気が使われていますが、場合によってはよりエコな電気炉に変えることが可能です。熱処理炉メーカーに一度相談してみると良いでしょう。
トップページでは、省エネやSDGsにも力を入れている熱処理炉メーカーを特集しています。行いたい処理や企業の特色から、自社に合ったメーカー選びの参考にしてください。
※参照元:田中 和明(著)「図解入門 よくわかる最新表面熱処理の基本と仕組み」秀和システム,2022/08,(100p~120p)
あわせてよく読まれている記事
熱処理炉に求める効果から選ぶ
おすすめの熱処理炉メーカー3選
「日本工業炉協会」の正会員である工業炉メーカー112社のうち、熱処理炉を扱う62社を調査。
その中から、自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界に必要な熱処理方法からメーカーを分類し、各社の熱処理炉の強みや特徴を紹介します。熱処理炉に求める効果から、自社に適した熱処理炉を選んでください。
合金鋼やステンレスなどの
耐摩耗性や耐疲労性を
高めたいなら
パーカー熱処理工業
※画像引用元:パーカー熱処理工業公式HP
(https://pnk.co.jp/)
おすすめの理由
表面熱処理に
特化した炉を扱う
- 合金鋼やステンレスの窒化技術において特許を取得(※1)しており、耐食性を落とさずに耐疲労性や耐摩耗性を高める熱処理炉がある
- 60年にわたる表面熱処理の経験を基に、省エネと高精度を追求した独自技術の開発を通じて品質向上を支援
表面処理ができる熱処理炉例
- 真空浸炭炉「ICBP NANO」
- 雰囲気制御式ガス窒化炉PCGNe
など
(※2 ともに省エネ補助金対象)
パーカー熱処理工業の
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る
電話で問い合わせしてみる
アルミニウムやマグネシウム
の軽さと高強度を
両立させたいなら
北陸テクノ
画像引用元:北陸テクノ公式HP
(https://www.h-techno.com/)
おすすめの理由
アルミ熱処理に
特化した炉を扱う
- 最大85℃の高水温で水冷することでアルミニウムやマグネシウムの歪みを減らしながら強度を高める熱処理が可能
- 冷却水を常にクリーンに保つことで不純物の付着を低減でき、素材本来の特性を保持しつつ品質の高い製品づくりに貢献
T6処理ができる熱処理炉例
- アルミニウム、マグネシウムのT6熱処理炉
- アルミニウム、マグネシウムの連続T6熱処理炉
北陸テクノの
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る
北陸テクノに
電話で問い合わせする
耐熱合金やチタンなどの
高温強度や耐食性を
高めたいなら
大同特殊鋼
画像引用元:大同特殊鋼公式HP
(https://www.daido.co.jp/)
おすすめの理由
耐熱処理に
特化した炉を扱う
- 航空宇宙業界などで使われる非鉄系金属に対して2000℃レベルの高温での真空熱処理ができる熱処理炉がある
- 独自の研究や開発を行っており、高温化で利用される金属に対する知見があることから高温強度や耐食性を高めるための技術提供ができる
耐熱処理ができる熱処理炉例
- ローラーハース式超高温連続熱処理炉 SHRH
- 急速ガス冷却式真空熱処理炉 QHS/QHN
など
大同特殊鋼の
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る
大同特殊鋼に
電話で問い合わせする