リスクアセスメントとは、作業や職場における危険性や有害性を調査で特定し、それを低減したり、解消したりするための対策のことをいいます。ここでは、熱処理炉のリスクアセスメントの目的と進め方を解説します。
熱処理炉でもリスクアセスメントが必要です。以下のような目的があります。
リスクアセスメントの目的のひとつに労働災害の防止が挙げられます。厚生労働省が発表しているデータを見てみると、炉・窯による事故として平成19年は合計174件の報告があります。
その中でも最も多い事故の型は「高温・低温の物との接触」です。続いて「はさまれ・巻き込まれ」「爆発」なども多く報告されています。
他にも「墜落・転倒」「飛来・落下」「動作の反動・無理な動作」などがあることから、万が一の事故を防ぐためにも熱処理炉のリスクアセスメントは重要です。
リスクアセスメントでは、どのようなリスクがあるかを明確にして対策を考えることになります。
事故の中には予想が難しく「まさかこのような事故が起こるとは思わなかった」といえるようなものも多いです。ですが、リスクアセスメントを進めることにより、どのような事故が考えられるのかを現場で働く従業員に理解してもらい、発生を防ぐための取り組みにつなげられます。
熱処理炉におけるリスクアセスメントは、どのように進めていけば良いのでしょうか。進め方を解説します。
まずは、リスクになりそうなことを特定していきます。そのためには、作業に関連するものの作業手順書や取り扱い説明書、ヒヤリハット事例などの情報が必要です。
収集を行い、リスクを特定しましょう。
関連する作業全体ではなく、作業単位での危険性・有害性を見つけていく必要があります。
現在どのような対策を取っているか、万が一リスクが発生した場合の影響の大きさはどれくらいかなどを考えます。実際にリスクが発生した場合の規模を明確に見極めることが重要です。
リスク低減すべき優先度を決めていきます。その後、具体的なリスク対策を検討しましょう。
作業方法や設備の変更が必要になることもあります。
あらかじめ設定しておいた優先度で、リスク低減措置を実施します。
実施結果を記録します。記録することにより改善すべきポイントや、今後のリスクアセスメントで必要なことが見えてきます。
熱処理炉に関連した作業には危険を伴うものもあります。しっかりリスクアセスメントを進め、できるだけ事故やトラブルを予防しましょう。
他にも熱処理炉に関して確認しておきたいことを以下で紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)