熱処理炉で火災が起きた事例は少なくありません。どうしても高温になる環境であるため、わずかなミスで火災が発生しやすくなります。そこでここでは、熱処理炉で起きた火災事例について具体的にご紹介します。
こちらは高温になった油槽内に、冷却水が混入したことで起きた熱処理炉火災事例です。水冷ジャケットに亀裂が入っていたことがそもそもの原因であり、冷却水が混入したことにより油が飛散し、バーナーに添加されていた炎によって火災へと発展しました。
続いては熱処理油の中に入っていた製品の熱によって、さらに高温になった油によって火災が起きた事例です。原因は搬送装置の故障でした。故障により高温の製品が油槽の中につかったまま稼働を停止してしまいました。そしてその製品の熱により油がさらに高温となり、火災へと発展した事例です。
熱処理炉の清掃中に起きた火災事例です。年に1回清掃を行っていた工場にて起きた事故で、油をすべて抜いた状態で作業員がスラッジスケールの除去を行っていました。すると落下シューターのスラッジスケールの塊が焼入油槽の中に落ちてきて炎上しました。清掃のために稼働を止めていたものの、熱処理炉の温度が十分に下がっておらず、300℃を保っていた上に、スラッジスケールも880℃という高温であったことが火災の原因だとされています。
熱処理炉で火災が起きた事例は多く存在します。予防するためにはリスクアセスメントを実施することが重要と言えるでしょう。
リスクアセスメントとは熱処理作業における安全性を確保するためのもので、調査によって危険性や有害性を解消する対策のこと。熱処理炉では火災をはじめとする災害が起こりやすいため、リスクアセスメントの実施は急務と言えるでしょう。
当サイトでは熱処理炉における火災予防のためのリスクアセスメントについて解説しています。現場の環境をより安全にしたいと考えるなら、ぜひ以下のページも参考にしてください。
熱処理炉は火災が起きる可能性が高い環境です。高温であり油などを用いることから、ともすると大きな火災に発展しかねません。
今回の記事では熱処理炉で起きた火災の事例をご紹介しました。事例を参考にしながら、リスクアセスメントを実施し、火災予防に努めてください。
しかし熱処理炉を導入するうえで知っておくべきことは、火災予防のための対策だけではありません。以下の記事では熱処理炉を導入するための基本的な知識を掲載していますので、ぜひ参考にして安全かつスムーズな熱処理炉導入を目指してください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)