水素やアンモニアなどのクリーンエネルギーを使用した熱処理炉の開発が進んでいます。ここでは、熱処理炉におけるクリーンエネルギーの活用について紹介します。
最近ではニュースや町中の看板などでも、 SDGsの取り組みを見かけるようになりました。環境や資源を考慮し、持続可能な開発を目指すSDGsの達成のために、熱処理炉にもクリーンエネルギーの活用は重要です。限りある化石燃料の代わりに、太陽光や風力などを活用すれば、SDGsの活動に貢献できます。
脱炭素化とは、再生可能エネルギーなどを利用して二酸化炭素の発生を減らし、持続可能な環境を作るアプローチです。水素や電気、また、次世代のエネルギーとしてアンモニアが注目されています。
熱処理炉に活用できるクリーンエネルギーとして注目されているのが、水素とアンモニアです。水素やアンモニアを燃焼させることで二酸化炭素を排出せず、有害物質の発生を抑えたバーナーの開発がすでに進んでいます。
熱処理炉にクリーンエネルギーを活用するデメリットとして、導入コストがかかります。「燃焼炉から電気炉に置き換えたらOK」といった単純な話ではなく、電気設備の施工や高圧電力の契約が必要で、新技術に対応できる技術者も必要です。
従来の熱処理炉からクリーンエネルギーを活用した熱処理炉に転換しても、すぐに効率よく生産稼働できるとは限りません。炉内や周辺環境の条件が変われば、加工物の仕上がりも変わり、同じ加工方法では窒化や水素の脆化が起こるリスクもあります。
一般的に、熱処理炉を置き換えた際は、温度の制御や品質管理のために設計・加工を見直さなければなりません。
北九州市にある工業炉材の設計・開発をしている大光炉材株式会社。竪型炉内循環式熱処理電気炉、SICヒーターアニール炉、連続式吊下げ焼成炉などさまざまなラインナップがあり、オーダーメイドにも対応しています。
竪型炉内循環式熱処理電気炉を例にすると、ヒーター容量は300kW、雰囲気温度は400~750℃、炉内温度分布は±5℃~10℃(温度帯によって異なる)です。
ガスの代替エネルギーとして電気を利用し、二酸化炭素排出量を削減できるヒータを開発している中外炉工業株式会社。電熱化により二酸化炭素を削減できるだけでなく、機器の操作が容易になり、シンプルな配管でり設備が簡素化されるメリットもあります。
年々変化し続ける地球環境に対して、個人だけではなく法人にも適切な対応が期待されています。そうした中で、クリーンエネルギーを活用した熱処理炉の導入は、ひとつの適切な方法といえるでしょう。
当サイトでは、熱処理炉を導入するために知っておきたい役立つ情報を掲載しています。導入前に、以下のページもぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)