熱処理炉を自動化することで、省人化や作業効率化に役立ちます。既存工程を自動化した熱処理炉にはどのような特徴があるのか、仕組みや実例を紹介します。
自動化システムを取り入れた熱処理炉はシステムが常時稼働し、人間による操作や判断の回数を削減します。無駄な作業時間を短縮し、省エネルギーに貢献します。
熱処理予約やワークの供給・払出プロセスの自動化によって作業を効率化し、データのトレーサビリティ向上も可能です。
作業スタッフによる入力操作では、確認から判断、操作までをスタッフ自身でこなします。経験値や判断力が必要な場合も多く、熟練者と経験の浅い作業スタッフの差が多くの現場で課題となっていました。
PCシステムは自動的な判断が可能なため、温度変更のタイミングを逃さずヒューマンエラーを予防できます。
製造現場の設計から保全までを行う株式会社ミスミでは、熱処理用の装置として自動式処理炉を提供しています。コンベア速度とトンネル焼成炉の入口・中央部・出口の温度分布を制御し、高精度かつ安定的な熱処理が可能です。
日本高熱工業社では、アルミ熱処理工程での省人化や省エネ・省スペース化に貢献する熱処理システムを提供しています。
熱処理の工程において、製品の搬送にはコンベアを、炉への挿入・抜去にロボットをそれぞれ用いることで、熱処理全体を無人化した装置を開発しました。
熱処理炉と専用機の設計・構築に携わっている株式会社三共では、100~1200℃の熱処理炉(コンベア炉・バッチ炉・ボックス炉・硝石炉)について、生産を自動化する装置を提供しています。サイクロン式やホットプレス+コンベア炉にも対応しています。
サンファーネス株式会社では、AMS規格にも対応可能なアルミ熱処理炉を提供しています。搬送や制御の自動化によって作業効率を向上し、精密な温度分布を出すことができます。
熱処理炉はワークの挿入・抽出・搬出といった作業に加えて、炉の運転や温度の調節も自動化することで省人化を図ります。
以下のページでは、熱処理炉を導入するにあたって確認しておきたい基本の情報を取り上げています。ぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)