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熱処理の直接加熱と間接加熱について

熱処理には、「直接加熱」と「間接加熱」の方式があります。本記事では、それぞれの熱源や仕組み、メリット・デメリットについて解説します。

目次

熱処理の直接加熱とは?

熱処理における直接加熱の熱源の種類と仕組み

熱処理における直接加熱とは、加熱源が直接処理物に熱を伝える方式を指します。主に以下の熱源が使用されています。

乾燥炉

乾燥炉は、ガスや灯油などの熱源を用いて、水分・溶剤・粉体などの乾燥や焼付処理を行う装置です。なかでも直接加熱方式は、バーナーで加熱した熱風を炉内に直接送り込み循環させる方法であり、熱伝達効率に優れ、短時間での加熱が可能です。また、鉄鋼やアルミニウムなどの金属製品を塗装する際にも、熱硬化型塗料を乾燥させ塗膜を硬化させる工程で、乾燥炉が活用されます。

電気炉

電気炉は温度制御が容易なため、精密な温度管理が求められる用途で広く利用されています。なかでも直接加熱方式では、処理対象に直接通電して加熱を行うため、急速な昇温が可能です。ただし、加熱効率は対象物の電気抵抗に左右されるため、形状や材質によって温度上昇に差が出ることがあります。そのため、電気炉による直接加熱は、電気的特性が均一で比較的単純な形状の部品に適しています。

直接加熱のメリット・デメリット

乾燥炉や電気炉による直接加熱は、熱伝達効率が高く、短時間で加熱が進むという利点があります。

ただし、塗膜の硬化状態を細かく調整しにくいため、焼きすぎや焼き残しといった不具合を防ぐには、炉内の温度や加熱時間を厳密に管理する必要があります。特に電気炉の場合は、加熱対象物の形状によって温度分布に偏りが生じる可能性があり、複雑な形状には不向きとされる点がデメリットです。

熱処理の間接加熱とは?

熱処理における間接加熱の熱源の種類と仕組み

間接加熱でも、燃焼炉および電気炉を用いた処理が行われます。

乾燥炉

乾燥炉の間接加熱方式では、燃焼室と炉内が分かれており、バーナーで燃焼管を加熱して、その放射熱で炉内を間接的に加熱・循環させます。この方式は炉内温度の精密な制御が可能で、加熱雰囲気にも影響を与えないという特長があります。光輝熱処理や浸炭焼入用の加熱炉にも広く用いられています。

電気炉

電気炉における間接加熱方式には、発熱体、高周波コイル、レーザー、電子ビームなどを利用する方法がありますが、なかでも最も一般的なのは発熱体を用いる方式です。発熱体には、ニクロムなどの金属系と、炭化ケイ素やカーボンなどの非金属系があり、それぞれに特性があります。これらの特性を活かし、焼入れや焼戻し、浸炭焼入れ、窒化処理、光輝熱処理など、さまざまな熱処理工程で広く活用されています。

間接加熱のメリット・デメリット

乾燥炉による間接加熱は、炉内全体に熱を均等に行き渡らせることで乾燥ムラを抑制できるほか、ススの侵入リスクを軽減できる点が特長です。ただし、熱媒体を介して加熱する構造上、熱は主に対象物の表面に伝わるため、エネルギー効率の面では一部が損なわれるという課題があります。

一方、電気炉による間接加熱は、清潔な作業環境を維持しやすく、温度の微調整も容易です。加えて、省スペースでの設置・運用が可能である点もメリットです。ただし、乾燥炉と同様に、直接加熱方式と比較すると熱伝達効率に劣るというデメリットがあります。

直接加熱・間接加熱以外にも熱処理の基礎知識をチェックしよう

直接加熱と間接加熱には、それぞれ利点と課題が存在します。熱処理を行う対象物や、作業場の環境を考慮して加熱方法を選定しましょう。

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※1 参照元:特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/?uri=/c1801/PU/JP-2021-120471/11/ja)※2024年11月8日時点
※2 参照元:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(https://sii.or.jp/koujou05r/system/search)※2024年11月8日時点
※参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)※2024年11月8日時点
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