メーカー選びにはもう困らない!【熱処理炉図鑑】 » 熱処理炉を交換する前に知っておきたい基本情報 » ソルト焼入れについて

ソルト焼入れについて

本記事では、ソルト焼入れの用途や仕組み、メリット・デメリットについて解説します。

目次

ソルト焼入れとは?

ソルト焼入れの仕組み

塩化カリウムや塩化ナトリウム、亜硝酸ナトリウムなどの塩類を高温で溶融させた塩浴(ソルトバス)中で金属部品を加熱・冷却する熱処理方法です。

まず、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩類を高温(約150〜1300℃)で溶融し、安定した温度環境を整えます。次に、処理対象の金属を塩浴に浸し、均一に加熱します。塩浴は熱伝導率が高いため、部品全体を均等に加熱でき、歪みや応力の発生を抑制する特徴があります。加熱後は、油冷、水冷、ソルト浴冷却など、適切な冷却方法を選ぶことで、目的の硬度や強度を得ることが可能です。

ソルト焼入れの均一な熱伝達と冷却により、硬度ムラや歪み、焼割れのリスクを抑えることができます。また、ソルト液が保護膜として機能し、酸化や脱炭を防ぐため、表面品質の向上にも寄与します。

ソルト焼入れの用途

ソルト焼入れのメリット・デメリット

ソルト焼入れのメリット

塩浴の高い熱伝導性により、部品全体を均一に加熱・冷却できる点が大きなメリットです。硬度ムラや歪み、焼割れのリスクが低減し、安定した品質の熱処理を行うことができます。歪み量は、他の熱処理と比較すると30~50%抑えられるとされています。

また、ソルト焼入れでは、ソルト液が部品の表面を覆うことができ、酸化や脱炭の防止ができるでしょう。表面の酸化皮膜を抑え、仕上がりを向上させることができます。ソルト液での均一な冷却が、組織の安定化につながります。

ソルト焼入れのデメリット

ソルト焼入れにはコストがかかるという課題があります。ソルト炉のメンテナンスや環境対策にかかる費用が高く、特にソルト焼入れ後の洗浄液の廃棄処理コストが上昇しています。

そのため、他の熱処理方法と比較して、コストが高くなる傾向があります。ソルト焼入れは高品質な熱処理が求められる部品に適していますが、コスト面での検討が必要です。

ソルト焼入れ以外にも熱処理炉の基礎知識をチェックしよう

ソルト焼入れは、金属部品を溶融した塩浴(ソルトバス)中で加熱・冷却することで硬化させる熱処理方法で、熱処理性能の向上や酸化防止などの効果が期待できるでしょう。一方でコストがかかるため、十分に考慮して導入を検討することが重要です。

当サイトでは、熱処理炉に関する基礎知識を解説しています。以下の『あわせてよく読まれている記事』も参考にしてください。

熱処理炉に求める効果から選ぶ
おすすめの熱処理炉メーカー3選

「日本工業炉協会」の正会員である工業炉メーカー112社のうち、熱処理炉を扱う62社を調査。
その中から、自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界に必要な熱処理方法からメーカーを分類し、各社の熱処理炉の強みや特徴を紹介します。熱処理炉に求める効果から、自社に適した熱処理炉を選んでください。

合金鋼やステンレスなどの
耐摩耗性や耐疲労性
高めたいなら
パーカー熱処理工業
パーカー熱処理工業公式HP
※画像引用元:パーカー熱処理工業公式HP
(https://pnk.co.jp/)
おすすめの理由
表面熱処理に
特化した炉を扱う
  • 合金鋼やステンレスの窒化技術において特許を取得(※1)しており、耐食性を落とさずに耐疲労性や耐摩耗性を高める熱処理炉がある
  • 60年にわたる表面熱処理の経験を基に、省エネと高精度を追求した独自技術の開発を通じて品質向上を支援
表面処理ができる熱処理炉例
  • 真空浸炭炉「ICBP NANO」
  • 雰囲気制御式ガス窒化炉PCGNe
など
(※2 ともに省エネ補助金対象)

パーカー熱処理工業の
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る

電話で問い合わせしてみる

アルミニウムやマグネシウム
軽さと高強度
両立させたいなら
北陸テクノ
北陸テクノ公式HP
画像引用元:北陸テクノ公式HP
(https://www.h-techno.com/)
おすすめの理由
アルミ熱処理に
特化した炉を扱う
  • 最大85℃の高水温で水冷することでアルミニウムやマグネシウムの歪みを減らしながら強度を高める熱処理が可能
  • 冷却水を常にクリーンに保つことで不純物の付着を低減でき、素材本来の特性を保持しつつ品質の高い製品づくりに貢献
T6処理ができる熱処理炉例
  • アルミニウム、マグネシウムのT6熱処理炉
  • アルミニウム、マグネシウムの連続T6熱処理炉

北陸テクノの
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る

北陸テクノに
電話で問い合わせする

耐熱合金やチタンなどの
高温強度や耐食性
高めたいなら
大同特殊鋼
大同特殊鋼公式HP
画像引用元:大同特殊鋼公式HP
(https://www.daido.co.jp/)
おすすめの理由
耐熱処理に
特化した炉を扱う
  • 航空宇宙業界などで使われる非鉄系金属に対して2000℃レベルの高温での真空熱処理ができる熱処理炉がある
  • 独自の研究や開発を行っており、高温化で利用される金属に対する知見があることから高温強度や耐食性を高めるための技術提供ができる
耐熱処理ができる熱処理炉例
  • ローラーハース式超高温連続熱処理炉 SHRH
  • 急速ガス冷却式真空熱処理炉 QHS/QHN
など

大同特殊鋼の
熱処理炉の種類や特徴を
公式HPで詳しく見る

大同特殊鋼に
電話で問い合わせする

※1 参照元:特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/?uri=/c1801/PU/JP-2021-120471/11/ja)※2024年11月8日時点
※2 参照元:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(https://sii.or.jp/koujou05r/system/search)※2024年11月8日時点
※参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)※2024年11月8日時点
素材特性と
効果で選ぶ
熱処理炉3選