日常生活でよく使われる「雰囲気」という言葉は、熱処理炉に関する用語としても使われます。雰囲気ガスは、熱処理炉を効率よく高い精度で運用するために不可欠な要素です。ここでは、熱処理炉で雰囲気ガスを使う理由と種類についてまとめました。
雰囲気ガスとは、熱処理炉を稼働させるときに送り込まれるガスです。英語では"Atmospheric Gas"と呼ばれています。
熱処理炉における雰囲気ガスの用途は、主に2つあります。
まずは材料の酸化・脱炭予防です。たとえば鋼を例に挙げてみましょう。鋼を加熱した場合には、空気中の酸素と鋼の炭素が結合。すると鋼の持っていた炭素が減少(脱炭)し、必要以上の摩耗や破損につながることもあります。こうしたトラブルを防ぐために、雰囲気ガスが役に立ちます。
上記のトラブル防止だけでなく、雰囲気ガスは材料の持つ特性を更に引き上げることも可能です。例えば表面の強度を向上させるために、雰囲気ガスが活用されます。雰囲気ガスにはいくつかの種類があり、加工する材料やコストなどの観点から選ばれます。
雰囲気ガスとして、以下の6種類の純粋なガスが使用されます。
純粋なガスは高価なため、長期的に利用し続けるとコストがかかります。そのため雰囲気ガスに使われる気体と空気を合わせた変成ガスも利用されています。
材料の酸化・脱炭防止や特性向上などに役立つ雰囲気ガス。熱処理炉の運用において、必ず知っておきたいポイントです。
当サイトでは熱処理炉を導入するために知っておきたい役立つ情報を掲載しています。導入前に、以下のページもぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)