ここでは、連続式の熱処理炉であるシェーカーハース型の特徴や事例について紹介します。
シェーカーハース型の熱処理炉は、操業方式において『連続式』に分類される熱処理炉です。
高温による金属の処理を得意とする工業炉で、シェーカーパンと呼ばれる床面を水平に運動させながら、パンの上に載せた部品などを慣性によって前方へ送り出します。
シェーカーハース型を含む連続式熱処理炉は次のとおりです。
種類 | 用途 |
---|---|
トレイプッシャー型 | 部品の焼きなまし・焼きならし・焼入れ |
ローラハース型 | 部品の焼きなまし・焼きならし・焼入れ |
メッシュベルト型 | 小物の焼入れ・焼戻し |
シェーカーハース型 | 小物の焼入れ・焼戻し |
回転レトルト型 | 小物の焼入れ・焼戻し |
シェーカーハース型の熱処理炉は、複雑な形状の部品にも対応でき、ムラが発生しやすい形状の部品に適しており、均一な処理が可能です。
サイズは、小型から大型まで、メーカーや製品によって異なります。
平成21年度のものづくり中小企業製品開発支援補助金によって開発された熱処理炉です。
供給側からワークを自動搬送し、その過程で均一に加熱・冷却を行い、歪みを抑えた焼入れが可能です。炉内ではワークを間欠振動によって順次移動させ、開口部より油槽へ落下させます。
高性能デジタル温度調節計や無接点リレー、3ゾーン制御ヒーター回路を組み合わせることで、精密な制御が可能です。
炉体を傾斜させて間欠振動を与えることにより、前方に対象物を進めて油槽へ落下させる連続炉です。
油冷鋼の焼入れやマルクエンチの用途に適しており、ワークの酸化や脱炭を防ぐために窒素ベースの無酸化雰囲気を作成します。焼入れ油は80〜200℃の等温に保持して撹拌されます。
浸炭窒化方式または無酸化焼入方式に対応し、省エネルギー設計とムラのない浸炭処理により、安定した品質を確保できる熱処理炉です。
軽量タイプの断熱材を使用し、蓄熱量を減らして省エネルギー効果を高めています。処理する製品により、ネットコンベヤまたはシェーカーハース方式の輸送機構を選択できます。
ボルト、ベアリング、板バネ、皿バネ、小ネジやタッピングネジといった小物部品への処理に適しています。
シェーカーハース型熱処理炉は、振動を与えて製品を前に送り出し、油槽へ落とす連続式の工業炉です。
バネやネジのような凹凸のある複雑形状の小物製品に適しており、ムラの少ない均一な加熱処理が可能です。
当サイトでは、熱処理炉の製造販売メーカーや基礎知識をポイントごとに紹介しています。「あわせてよく読まれている記事」もぜひ参考にしてください。
「日本工業炉協会」の正会員である工業炉メーカー112社のうち、熱処理炉を扱う62社を調査。
その中から、自動車業界、半導体業界、航空宇宙業界に必要な熱処理方法からメーカーを分類し、各社の熱処理炉の強みや特徴を紹介します。熱処理炉に求める効果から、自社に適した熱処理炉を選んでください。