熱処理炉においては、温度管理がとても重要になります。ここでは、温度管理の重要性と、温度管理に関する注意点を紹介します。
熱処理炉では、温度管理が欠かせません。ここではなぜ温度管理が重要とされるのか解説していきます。
熱処理炉は金属を一定の温度以上に加熱したり、冷却したりするために使用されます。これにより金属の硬度・強度・耐久性などを向上させることが可能ですが、特定の温度で一定の時間、処理しなければなりません。
温度管理が適正にできていない場合、目的としている結果につながらない場合があります。
また、均一に処理をするためにも温度管理が欠かせません。もしも熱処理炉内で温度にムラなどができてしまった場合は、加熱対象物の仕上がりにも同様にムラができてしまう可能性が高いです。
必要以上に高温で処理してしまうと、燃料コストが高くついてしまいます。求めている温度帯を維持できるように温度管理することにより、燃料コストを抑えることが可能です。
熱処理の温度管理について、いくつか注意しておきたいポイントがあります。以下を確認しておきましょう。
温度履歴管理の方法は、紙式の記録計で管理するほか、ぺーパレスレコーダを用いる方法があります。
紙式の記録計の方が導入コストを抑えられることもありますが、紙詰まりや、用紙切れが発生してしまった際にデータが記録されない点に注意しましょう。
ぺーパレスレコーダを採用することにより、こういったトラブルを防ぐことが可能です。
熱処理炉は温調計で炉内の温度を測定して温度調整を行いますが、炉内の雰囲気温度と実際に投入している製品の実温度には誤差が生じることがあります。
炉内の場所によって温度差が大きくなったり、小さくなったりすることも珍しくありません。場合によっては製品の実温度測定が必要です。
熱処理炉の温度管理では、様々な種類のシステムが使用されています。例えば、オン・オフ制御は容易に温度管理をおこなう方法で、コストが安く済むのがメリットです。
ただ、複雑なプロセスや高度な制御を必要とする場合は、選択するシステムもPID制御のようにより高度なものでなければなりません。用途に合わせて導入する温度管理システムの種類を考えましょう。
熱処理炉の温度管理についておさえておきたいポイントを紹介してきました。目的の処理を正確に行うため、温度管理は非常に重要です。
これにより、加工の精度を上げたり、燃料コストを削減したりすることが可能です。以下では他にも熱処理炉の基本情報を紹介しているので、こちらもぜひご覧ください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)