ここでは、熱処理炉に使用されている断熱材の仕組みや種類について紹介します。レンガやセラミックファイバーなど、それぞれの特徴を確認していきましょう。
熱処理炉は炉内に高温環境を作り出し、素材を加工するものです。熱が伝導や放射によって外に逃げないように、炉内には断熱性を保つための素材が使われています。
高温に耐えられる素材であることも重要です。炉内は数百度の高温に保たれているため、グラスウールやセラミックのような熱に強い素材が選ばれています。
外壁だけで十分に保温できない熱処理炉には、断熱材で部分的に補強することで省エネ効果が期待できます。
セラミックウールを炉の大きさと形に合わせて切り取り、すき間なく敷き詰めると熱が逃げにくい環境になります。熱処理が効率化するだけではなく、エネルギーロスを防げる作業環境を作り出します。
THERMOSCATT®は熱伝導率の際の温度依存性が低く、1000℃以上の高温にも耐えられる工業炉用断熱材(スピネル質セラミックス)です。
従来の耐火断熱材がカバーしきれない高温域に適しており、1500℃における熱伝導率はファイバーボードやレンガの2分の1程度に抑えられます。
レンガは、粘土や泥を型に入れて焼き固めることでできあがる材料です。耐火断熱レンガは高い蓄熱性をもつレンガ素材で、1000℃を超える高温環境にも耐えることができます。
セラミックファイバーはシリカなどの素材でできた人造の鉱物繊維素材です。耐熱温度は1000℃以上であり、レンガと同程度の高温環境に用いられています。
グラスウールは、原料としてガラスが使われている人造の繊維素材です。断熱性や不燃性にすぐれており、1500℃以上の高温に耐えられる製品もあります。
ロックウールは玄武岩などの材料を高温で溶かし、繊維状に加工した素材です。非常に高い耐火性能をもち、工業炉をはじめ多くの建築物に採用されています。
断熱材は、熱処理炉のパフォーマンスを維持するために欠かせない材料です。炉内の温度を一定に保ち、高温環境でも破損や溶解をしないものが採用されています。素材ごとの特徴や強みを比較して、炉内に適した素材を選びましょう。
以下のページでは熱処理炉を導入する際に知っておきたい基本情報を取り上げています。ぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)