熱処理炉を適切に使うために重要な役割を担っているのが、冷却水です。ここでは、冷却水の目的や使用する際の注意点を紹介します。
冷却水とは、その名前のとおり、冷却の目的で使われる水です。冷却塔に水を蓄積しておき、冷却の際に配管を通って熱処理炉を冷却します。
冷却せずに熱処理炉を加熱し続けた場合には、加工物が本来とは異なる仕上がりになる可能性が高まるほか、熱処理炉が破損したりするトラブルが発生する恐れがあります。したがって熱処理炉を使用する際には、冷却水が非常に重要な役割を果たしています。
冷却水が不足した場合には、熱処理炉が十分に冷却されず破損する恐れがあります。冷却水の配管をチェックして、正しく冷却水が行き渡っているかを管理しましょう。
ただし冷却水が多ければ多いほど良いというわけではありません。多すぎると過冷却状態になってしまい、熱処理炉が正しく機能しません。
冷却水の流量が多すぎたり、少なすぎたりする場合には、加工物の品質にも影響します。品質のバラつきにより生産性が低下しないように、冷却水を正しく管理しましょう。
冷却水の水質管理も重要です。冷却水の中に不純物が含まれていたり、水質が悪化したりすると、配管の詰まりを引き起こす恐れがあります。
冷却水の配管には、定期的なメンテナンスが不可欠です。
特に10年以上使用している場合には要注意で、スケール障害を発生する危険性があります。スケール障害は、冷却水に含まれるマグネシウムやカリウムが析出することで発生し、冷却水の流量低下や熱処理炉の故障を引き起こすリスクがあります。
熱処理炉を使用する際に、加工物の品質を維持しながら、生産性を上げるために、冷却水が欠かせません。冷却水を使用する際には、流量の管理が重要で、十分な冷却水が行き渡っていなければ、期待通りの結果は得られません。また冷却水が多すぎる場合は、過冷却を引き起こしてしまいます。定期的なメンテナンスを心がけながら、熱処理炉の冷却水を使用しましょう。
当サイトでは、熱処理炉を導入するために知っておきたい役立つ情報を掲載しています。導入前に、以下のページもぜひ参考にしてください。
2023年5月末時点「日本工業炉協会」の正会員である企業113社の中から熱処理炉を扱っているメーカー58社を抽出。その中でサポート体制について公式サイトに明記されている25社から、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象であった3社を掲載。そのうえで、おこないたい処理方法別に分けて、それぞれの企業の強みや特徴を紹介しています。省エネにつながり、長期的に付き合える熱処理炉メーカー選びの参考にしてください。
※選定基準
2023年5月末時点、「日本工業炉協会」(※2)の正会員一覧に掲載されている企業全113社を調査。すべての企業の中で「熱処理炉」を製造しているメーカーは58社ありました(焼入・焼戻炉(真空炉・浸炭炉含む)、焼きなまし炉(焼鈍炉)、焼きならし炉(焼準炉)、窒化炉を「熱処理炉」と定義しました)。
58社のうち、メンテナンスやアフターフォローをおこなっている旨を公式HPに明記していたメーカーは25社でした。さらに、25社の中から令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」の対象となっているメーカーのみ3社を選出しています。
パーカー熱処理工業…3社の中で扱っている表面熱処理炉の種類が最多。
東洋炉工業…3社の中で唯一、黒化処理炉を扱っている。
大同特殊鋼…3社の中で企業オリジナルの炉の種類が最多。
※1 参照元:省エネルギーセンター「平成29年度省エネ大賞[省エネ事例部門]受賞内容」PDF(https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner17/pdf/e1.pdf)
※2 参照元:日本工業炉協会 正会員一覧(https://www.jifma.or.jp/mem-search/official-lineup/)